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対談インタビュー

【岡谷グラニット × よしの家対談】採れた石に、嘘はない。産地から語る、庵治石の価値

株式会社岡谷グラニット

代表取締役 岡谷 明照様 営業担当 西原 智博様

多磨霊園正門前で100余年の歴史を刻むよしの家石材部。その品質へのこだわりは、石が山にある段階から始まっています。香川県・庵治の採石場を自ら訪れ、原石の段階から目で確かめる。その信頼を長年託してきたパートナーが、採石から加工まで一貫して手がける株式会社岡谷グラニットの岡谷氏です。「産地まで足を運んでくれる石材店は、なかなかいない」と語る岡谷氏と、年に何度も産地に通い続ける吉野。今回の対談では、庵治石の魅力や採石元ならではの強み、そして墓石づくりへの思いを語り合っていただきました。なお本対談には、岡谷グラニットで営業を担当する西原氏にも同席いただいています。

同じ方向を向いているから信頼し合える

―おふたりの出会いを教えてください。

吉野: 毎年、香川の高松で庵治ストーンフェアが開催されています。国産の石のことを勉強したくて、若い頃からずっと産地に足を運んでいました。その中で岡谷さんと出会いました。2009年に品評会でグランプリを獲られた年から、もう20年近いお付き合いになります。

岡谷氏: そうですね。祖父の岡谷武一が昭和25年(1950年)に庵治町で採掘業を始めてから、今年で76年目になります。加工業を始めたのは私の代からで、今では採石から加工までを自社で一貫して手がけています。県外の石材店さんとお会いして、市場の情報を聞きながら、最終的にお客様に喜んでいただける商品をどう作るかを常に考えてきました。吉野さんは毎年必ずいらっしゃって、勉強熱心で、身なりも含めいつもきちんとされています。なかなかそういう方は少ないんですよ。

吉野: 本当にいいお墓をお客様に届けたい。岡谷さんも、同じ信念を持ってこの道を歩まれている方です。同じ方向を向いている人でなければ、いいものはできないと思っています。そうやって通い続ける中で、信頼も深まってきました。

岡谷氏: 本当にそうですね。お客様のために力を合わせるという、その一点が一致していれば、あとはお互いに全力を尽くすだけです。

庵治石が「石の王様」と呼ばれる理由

―庵治石の特徴を、わかりやすく教えていただけますか。

岡谷氏:庵治石の魅力は、大きく四つあります。まずは硬さです。庵治石は、水晶と同じ「モース硬度7」という高い硬度を誇ります。一般的な鉄では歯が立たず、140個もの工業用ダイヤモンドがついた巨大なノコギリで、水をかけ続けながら時間をかけて切り出していきます。またこの硬さゆえに、吸水率が非常に低い。水を吸いにくいということは、海辺に置いても潮風で色が変わりにくく、経年劣化に強いということです。

庵治石を加工現場の写真

次に粘り強さ。硬いだけでなく粘りがあるので、普通の石では難しい細かな装飾や浮き彫りなど、繊細な加工を施すことができます。

三つ目が「斑(ふ)」という模様。長石・石英・黒雲母の三成分で構成された庵治石には、瀬戸内海のさざ波のような斑点模様が浮かびます。これは世界中探しても、庵治石にしかない魅力です。モネの絵画のように、無数の点が重なり合い、見る角度によって奥行きと表情を変えます。

四つ目が歴史。庵治石の価値は、その美しさだけではありません。特筆すべきは、1000年以上前から愛用されてきたという圧倒的な「歴史の重み」です。数十年前に見つかった新しい石とは違い、何世紀にもわたって風雨に耐えてきた実績がある。この1000年という時間が、何よりの品質証明となって、お墓の品質を支える根拠になります。

―実際に墓石として使える割合はどれくらいですか。

岡谷氏:採れた石の3〜5パーセントといわれています。マグロに例えると、大トロの最高のひと切れだけを食べるようなものです。残りは港湾工事の材料など、単価の低い用途に回るしかありません。採れた石のほとんどがそうした形で消えていく。だからどうしても高価なものになってしまうのです。

吉野:こういう話をすると、こだわりのあるお客様は真剣に耳を傾けてくれます。そういったお客様に本当にいいものを届けるためには、同じ方向を向いている人と組むしかない。石へのこだわりも、産地への足も、その一心からです。

採石場を持つことの、本当の価値

―岡谷グラニットさんが採石場を持っていることの強みはどこにありますか。

岡谷氏:採れた石には全て番号を振っています。採石場の区画ごとにアルファベットを割り当て、同じ区画内の石には「Aの1」「Aの2」と連番をつけていく。近い番号の石ほど採れた場所が近く、石目や色味が似ています。

後から「墓誌を追加したい、できれば石目を合わせてほしい」というご要望があった際も、同じ番号の石が残っていればそれを使い、なければ前後の番号の石からサンプルを取って提案できます。これは採掘元だからこそできることだと自負しています。

通常、石材店から注文を受けた加工業者は、1組分の原石しか発注しません。高価なものですから当然です。でも私どもは採掘元ですから、石目が合わなければ入れ替えて、また試して、とできるわけです。特別な一本をつくるために複数の原石を当たることも厭わない。それが自社採掘することの、本当の強みだと思っています。

吉野:普通は受注が決まってから材料を探し始めるものですが、岡谷グラニットさんは見積もりの前段階から材料を当たってくれます。だからこそ、大きい墓石の石目を合わせて作ってもらうことができます。

―採石の仕事はどんな環境なのですか。

岡谷氏:正直、非常に過酷な仕事です。夏は山の石が熱を帯びて焼けるように暑く、冬は北西の季節風が遮るものなく吹き付ける。動かす重機は大型で、一つの石が何十トンにもなることも珍しくない。火薬も使いますし、労災のリスクも常にある。命をかけてやっている仕事だと思っています。

そのため、いい石が取れたときの喜びは格別でして。採石場の職人が「いい石が出た、見に来てくれ」と電話をかけてくるんですよ。辛い仕事の中にある、その喜びを大事にしてあげたいと思っています。

そもそも採石業というのは、農業や漁業と同じ第一次産業です。いつも同じものが取れるとは限らない。特に庵治石は「斑」という特殊な模様がありますから、一つとして同じものがない。それが面白いところでもあり、大変なところでもありますね。

吉野:自然のものを相手にしているから、やってみないとわからないことが必ずあります。それでも責任を持っていいお墓を届けなければならない。だからこそ現場を知っておく必要があるんです。産地で「黒玉」の話を聞いたときも、そう感じました。

岡谷氏:ええ、加工している途中で黒い斑点が現れることがあるんです。これがどら焼きのような形をしていて、中に入るほどにどんどん大きくなるのか、逆にすぐなくなるのかが、切ってみないとわからない。「大事なお客様のお墓に黒玉が出ました、大きくなっています」と工場から知らせがきた時は、「もう2ミリ削ってみよう」となります。自然のものを相手にしているので、やってみないとわからないことだらけです。

吉野:そういう話を現場で直接聞けるから、お客様にも「この石はこういう石で、こういう判断をしています」と、自信を持って説明できます。

年に何度も産地へ来る石材店

―吉野さんは年に何度も産地まで足を運んでいると聞きました。

吉野:原石の確認に来て、できあがったら検品に来て、フェアがあれば会いに来る。最近は毎月のように営業の西原さんとはやりとりしていますね。頼んでしまえばあとは届くのを待つだけ、という業者さんもいると思います。でも、八百屋さんだって、毎日来るお客さんには「いいのが入ったよ」ってなるでしょう。そういう関係性が、結局いいものをお客様に届けることに繋がると思っています。

岡谷氏:産地に来ていただけることが、どれだけありがたいか。自然のものを相手にしているので、工業製品のように毎回同じものはできません。お客様にご納得いただけるか、私どもも毎回真剣に向き合っています。だからこそ吉野さんに来ていただいて、原石を確認して、できあがったら一緒に検品する。それがお客様への最大の安心材料だと思っています。

西原氏:来てもらえる、ということはそれだけ期待してもらっているということです。それだったらこちらもプロとして応えないといけない。そのため岡谷グラニットでは、受注よりもずっと前、見積もりが出そうになった段階から、すでに山の担当者と材料の相談を始めています。正式に注文が決まったとき、「今ならこういう石が用意できますよ」とすぐに答えられるのは、山と工場と営業が近いからこそです。来ていただいたときに喜んでもらえるように、というのが全ての仕事の出発点になっています。

―吉野さんのこだわりに応えるのが大変だと感じることはありますか。

西原氏:吉野さんは細かいところまで見ています。例えば墓石の丸面取り加工部分にあえて線を残す場合があります。地域によっては「ピシッと線が通っていて美しい」とされ、むしろあるのが標準というところもあります。ただ、吉野さんは最初から「その線は入れないでほしい」とはっきりおっしゃっていました。こういった作業を面倒だと感じる業者もいるかもしれませんが、私どもはそういったこだわりに全て応えます。

吉野:その線があると水面張力で雨水が溜まり、汚れやすくなります。お墓は建てて終わりではありません。何十年いや何百年も手を合わせていただく場所だから、できるだけきれいな状態が保てるようにしたいので、細かいことでも妥協できません。うるさいと思われているかもしれませんが(笑)、そういったこだわりに全部応えてくれるのが岡谷さんです。だから信頼できるんです。決して安くはない費用をかけてお墓を建てるお客様がいる以上、こちらも妥協はできません。

岡谷氏:検品が終わってからも、据え付けの日は現場に立って据付作業を行ない、納骨が終わるまでお客様に関わり続けていますよね。一貫した対応には本当に頭が下がります。

吉野:納骨が終わっても、お付き合いはずっと続きます。何か気になることがあれば相談していただけるよう、資料請求からはじまり、ご案内から引渡し、アフターフォローまで、ずっと同じスタッフが関わります。それが私たちのスタンスです。だからこそ、同じ姿勢で石と向き合ってくれるパートナーと組みたいと思っています。

いいお墓をつくるために、一番大切なこと

最後に、お墓をつくる上で一番大切にしていることを教えてください。

吉野:私たちの仕事は、突き詰めると仏様のためですよね。お客様の先にいる、目に見えない大切なご家族のために、皆が同じ方向へ手を合わせる。その思いに、誠実に応えるには、信頼関係しかありません。

岡谷氏: 私どもは裏方で、仕事をしている様子をお客様にみていただくことはほとんどありません。でも、誠心誠意、正直に。吉野さんがおっしゃる通りに、誠実に向き合うだけです。

株式会社岡谷グラニット

香川県高松市庵治町に拠点を置く、庵治石の採石・加工・卸販売を一貫して手がける石材メーカー。昭和25年(1950年)、岡谷武一氏が庵治町で採掘業を開始したのが起源。採石から加工まで自社で完結できる体制は、産地ならではの強みとなっている。

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